【小原の読書メモ2】


小原が最近読んだ本を徒然なるままにご紹介。
ジャンルを問わず節操無く読みあるいています。

「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」内山節


1965年ごろを境に、「キツネにだまされた」という話をとんと聞かなくなったという。
それは日本が高度経済成長期へと突入していく時代であり、日本人が昔から抱いてきた自然との関わり方、生命感、身体性といったものが大きく変化した時代に他ならないのです。
作者の内山節さんは哲学者で、1年の半分を群馬県上野村で過ごし、「里」での暮らしを続けながら今の時代の生き方についての深い洞察をわかりやす言葉で発信しておられます。
(一度直接お会いして、色々お話しする機会がありましたが、本当に飾らない素敵な方でした。)

かつて人々は自然を信頼し、自然を糧とする能力があった。そして、「おのずから」の自然体あることを目指して暮らしていました。しかしいつからか、知性にとらわれ、「おのずから」の状態から程遠くなってしまった我々。
暮らしの中に根付いていた先祖伝来の知恵や生き方の教えは途絶え、降りたくても降りられない世界経済の螺旋の中で怯えて暮らすようになってしまったと言います。

今大切にすべきものは何かを改めて考えさせられる良書です。

内山先生は他にもオススメの書籍がございます。

怯えの時代
ローカリズム原論
「里」という思想

尚、こうした話は最近では弊社の丑田の十八番なので、興味のある方は是非秋田オフィスのある五城目町へお越しください!

「脳のなかの天使」V・S ラマチャンドラン

学生時代に脳の認知のメカニズムに興味をもったことがありました。
そんな時に出会ったのが「脳のなかの幽霊」。作者は医師であり脳認知の世界的権威。
作中では失ったはずの手足が痛むという幻肢痛の患者に対する鏡を使った独創的な治療など、その他の脳の損傷から不可思議な行動をとる人々が紹介され、複雑な脳の認知の仕組みを解き明かしていくとてもおもしろい本でした。
そして先日、日本帰国中にその続編を発見し、思わず手にしたのがこの本「脳のなかの天使」です。
かつて、人間の脳は母体の中で成長はとまり、それ以上の成長はないと言われていましたが、近年の取組みで脳は外部刺激(入力)によって変化する(=可塑性)ことがわかっています。
本書はまさに脳の可塑性(plasticity) についての症例と脳の認知の仕組みに対する実験・考察の宝庫です。そして、そうした考察を通じて、如何にして人間が進化を遂げてきたのか、という問いに迫ります。
特に面白かったのは、人の動作を模倣する際に発火する「ミラーニューロン」の存在と、「言語と脳の認知の関係性」に関する考察です。
下記の図を見て、どちらがブーバでどちらがキキだと思いますか?
直感で答えてみてください。

どちらがブーバで、どちらがキキか?

これを世界中で実験したところ、言語圏にも年齢にも依らず、大多数の人が同じ回答をするそうです。(ブーバ・キキ効果)
脳の構造上、視覚的なイメージとともに音感的なイメージやそれに伴う身体的なイメージも想起されるというのです。この構造は人間固有のものであり、それが言語獲得に大きく寄与したというから驚きです。
詳細は是非本書を手にとって御覧ください。

むかし読んだ関連書籍

脳のなかの幽霊
妻を帽子とまちがえた男
共感覚者の驚くべき日常

「サキ短篇集」サキ

短編の名手とされるサキの作品集。
飛行機の待ち時間にさらっと読めればと思って手にしました。 ブラックな話が多く、なかにはオチで薄ら寒い気持ちになるものもありました。 読みやすくて、すぐに読めてしまうのはいいのですが、個人的には短編は読み応えがないなぁと思います。(星新一のショートショートもあまり好みではありません。)

ところで、作者は父親がインド警察に勤務していたことから、英国領インド間接統治時代のミャンマーで生まれ、のちに自身もインド警察の職につきミャンマーにいたそうです。 「1984年」を書いたジョージ・オーウェルも同じくミャンマーで同職について、「ビルマの日々」を書きましたね。「1984年」もいいですが、個人的には「動物農場」がオススメです。

旅をする、異国に滞在する、と言った経験は人の感受性に働きかけ、筆を取らせるんでしょうね。 旅先で普段書かない絵葉書を書いたり、facebookに詩的な内容を投稿した経験がある人は少なくないはず。

ジョージ・オーウェルの著作たち

1984年
ビルマの日々
動物農場

おすすめの書籍があれば、ぜひご紹介ください!
小原

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